住宅の一形態である、木造住宅。この木造住宅は、どれくらいの寿命があるのでしょうか。そして、建築してから何年で住み替えるべきなのでしょうか。
木造住宅の寿命や、できるだけその寿命を長くする方法、そして住み替える場合はどうすればいいのかなど様々な観点から情報をまとめてみました。
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木造住宅の寿命は30年?
木造住宅の寿命はなぜ30年と言われるのか。
通説的に。木造住宅の築年数は30年と言われています。そのため、木造住宅に住まわれている方においては、30年で建て替えをしたり住み替えをしなければならないと考えているケースもあります。
では、この30年という寿命の根拠は一体何なのか。実は、この30年という数字は、現存している住宅数から新築の住宅の増加数を割って算出されたものです。
これは、まだ住める状態なのに建て替えられた住宅数も多く含んだ平均値であり、実際の木造住宅の寿命を表したものではありません。
現実的に、木造住宅にはどれくらい住める?
通説で言われている木造建築の寿命が実際の寿命ではないとすれば、現実的な木造住宅の寿命はどれぐらいでしょうか。この答えとして、早稲田大学の小松幸夫教授らが行った「建築寿命に関する研究」では、木造専用住宅の平均寿命は約52年との結果が出ています。
つまり、通説の寿命である30年よりも、20年以上長い寿命があるのです。
そして、工法やメンテナンスの違いによって、さらに寿命は延びると考えていいでしょう。
木造住宅に長く住むための工夫
定期的なメンテナンスを行うことが大切
木造住宅の寿命を延ばし、長く住めるようにするためには一定期間毎のメンテナンスが欠かせません。
そのメンテナンスにおいて、重点的に確認しておくポイントとして、外壁、屋根、が挙げられます。築年数が長くなるにつれて、木造住宅全体の点検を行うようにしましょう。外壁や屋根は、雨風に晒されて劣化しやすい箇所ですので要注意です。
また、木造住宅特有のメンテナンスとして、シロアリ対策があります。シロアリが居る場合は早急な駆除を、いない場合は予防対策をすることが大切です。
どのような頻度でメンテナンスをすれば良いか
メンテナンスをすることが大切だとわかっても、それを行う頻度の目安がわからないことがあります。
住宅によって適切なメンテナンスの頻度は変わりますが、一般的に築5年目で1度目のメンテナンスを行うことが推奨されています。
築5年であっても、思わぬ箇所に木造住宅の不具合が出てくるケースがありますので、そのタイミングを逃さないようにしてください。
また、5年以降においても、5年毎の定期メンテナンス、そして不具合を感じればその都度に部分的な点検と修理を行うことが理想的です。そうすれば、木造住宅は健康に推移し、その住宅の寿命を長くさせてあげることができます。
木造住宅から住み替える際のタイミングとは?
住宅の価値があるうちに住み替える
木造住宅は当然のごとく住み続けると劣化していきます。そのため、いずれは住み替える必要がでてくるものです。その住み替えを行う際には、タイミングがかなり重要になってきます。その理由の一つとして、減価償却といって年数が経つごとに住宅の価値が下がることが挙げられます。
一般的に、木造住宅の価値は築20年でなくなると言われています。また、築年数が20年に近づくほどに、年々その価値は下がっていきます。
住み替えをする際に、その住宅を売却するならば、できるだけ早く20年以内のタイミングでそれを行うようにしましょう。
税金の面でもタイミングが重要
木造住宅から住み替える際に売却などをするのであれば、税金面でのタイミングも見計らいましょう。
住宅は所有5年未満のもので売却する場合、その売却所得が短期譲渡所得とみなされ39%の税金がかかります。
しかし、所有期間が5年を超えれば長期譲渡所得とみなされ、20%に課税率が下がります。5年を超える直前で売却をしてしまうと、19%分も多くの税金を支払う必要がでてきますので、かなり損をすることになります。
もしも5年を経過するような段階で、売却をして住み替えを検討しているのであれば、その木造住宅の所有期間が5年を超えてから売却するように注意しておきましょう。
木造住宅こそ、メンテナンスが大切
一般的に言われている木造住宅の寿命は、実際の寿命ではありません。ですので、30年を超えてもメンテナンスなどをしっかりとしていればかなり長い間住み続けることができます。そのためにも、日頃から住宅の保全については意識を持っておくべきです。
しかし、住宅の価値の面からすると20年を経過すると評価額がなくなるため、住宅そのものの寿命と、社会的な価値の面での寿命を踏まえて、住み替えを考えるべきだと考えられます。