木造住宅の業界では、パッシブデザインを取り入れることが多くなりました。もしかすれば、耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。

では、木造住宅におけるパッシブデザインとは一体どのようなものなのでしょうか。そのパッシブデザインの詳細について、ご紹介させていただきます。

木造住宅のパッシブデザインとは?

自然のエネルギーを有効活用するデザイン

パッシブデザインとは、簡単に言うと、自然エネルギーを取り入れて住環境を良くするデザインです。具体的には、太陽光による室内を暖めたり、逆に風を取り入れて室内を涼しくしたりできるような設計がなされたデザインを指します。

木造住宅においても、このパッシブデザインは多く用いられるようになっています。

機械にあまり頼らない快適な住環境をもたらす

自然のエネルギーを用いる建築構造のパッシブデザインは、エアコンなどの空調の機械への依存度を下げてくれます。

これは、機械に頼らずに、体や心に優しい空調を行ってくれることになります。つまり、建築設計によって、機械ではなく家そのものの力で快適な住環境を実現してくれるのが、パッシブデザインなのです。

パッシブデザインの窓の一例

南向きに大きめの窓を設置する

自然の力で室内を温めるためには、太陽光の力を借りることが大切です。この太陽の力を有効に借りる上で、南向きに大きめの窓を設置するのは、パッシブデザインの代表的な例だと言えます。

南向きに範囲の広い窓を設置することで、効率よく暖かい日差しを室内に取り込むことができます。また、夏場など暑い時期であれば、南向きの窓にすだれやシャッターを設置して暑さを避ける方法もあります。

二重窓を採用することもパッシブデザインの一つ

暖かい光が入りやすいように窓を設置しても、窓の性能が悪ければ室温が外へと逃げていきます。そのため、断熱性が高い窓を採用することも重要です。

断熱性の高い窓としては、二重窓が使い勝手が良いです。二つのガラスが空気を逃さないようにできているからです。そのため、二重窓を採用するのもパッシブデザインの一つになります。

パッシブデザインの断熱材について

充填断熱材と外張り断熱の2種類がある

住宅に用いられる断熱材は、大まかに二つに分けることができます。その二つであるのが、充填断熱材と外張り断熱材です。

充填断熱材は、建物の構造内部に断熱材を組み込むようにして取り付けるものです。もう一方の外張り断熱材は、家屋の外側に断熱材を取り付けるタイプになっています。また、外張りではなく、家の内側に取り付ける内張り断熱材もあります。

断熱材を組み合わせることも適切

木造住宅には充填断熱材が適していると言われます。しかし、充填断熱材のみで断熱効果が薄いこともあります。そのような時は、外張り断熱材や内張り断熱材との組み合わせをするのも、適切な断熱効果を生みます。

外張り・内張り断熱材はリフォームなどでも取り付けられます。ですので、一度建築した家屋のパッシブデザイン効果を高めるために、外張り・内張り断熱を付けることも良いでしょう。

パッシブデザインがもたらす自然のエネルギー

照明が無くても明るい導光の力

パッシブデザインでは、室内の温度だけではなく、その他の面でも自然のエネルギーを有効活用しています。その一つが、部屋の明るさを得られる点です。

設計をする上で、太陽光をうまく屋内に導く「導光」を意識した作りがなされます。そのため、導光によって、日中は照明が要らないくらいに明るい家屋になるのです。

これは、屋根に光を取り込む窓を付けるなどによって可能になります。

風が部屋を涼しく・快適にしてくれる

風は、室内の気温や湿度を低くする上でとても重要な自然エネルギーです。パッシブデザインの木造住宅では、風の通りを良いように組み立てられます。そのため、風の力によって部屋を涼しく・快適にすることができるのです。

風のエネルギーを取り入れる設計は、風の入り口を多く設けるとともに、屋内の風圧が下がらないように天窓などを効率よく取り付けます。

エコでローコストなパッシブデザイン

テクノロジーの進化とともに、屋内の環境を機械での空調設備などに依存することが多くなりました。しかし、エコロジーの点や、コストダウンの点、そして自然を感じられる点からも、パッシブデザインでの屋内環境整備は重要になります。

特に木造住宅では、木という自然の素材を使っています。

パッシブデザインを取り入れることで、より木造住宅の良さや、過ごしやすさを実感できるのではないでしょうか。

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